売り切れ!エアコンのリモコン
景気がいいとか、悪いとかいう。商品が売れないのは、工夫が足りないから、だともいう。しかし、人は生理的に欲するものがあれば買う。しかも、恐ろしいばかりの購買意欲をむき出しにして。
梅雨明け宣言とともに、福岡に夏がきた。それも猛暑が。だれもが同じことをしたのだろう。今年、初めてクーラーのスイッチを入れた。だが、家に4台あるエアコンのうち1台のリモコンが作動しない。電池を入れ替えてもダメ。よーく見ると、液漏れになりリモコン内部が錆びついているのが分かった。
よって、買いに行った。博多駅筑紫口にある大手量販店へ。「エアコンのリモコンってありますか? ちょっと古い三菱の霧ケ峰…」。ここで打ち切られた。「昨日、今日、すごい売れ行きで、なくなっちゃいました」。胸に「メーカー派遣員」のカードをぶら下げたおにいちゃんが、ちょっぴり得意げに言った。
ここで販売機会の喪失だとか、おにいちゃんの得意げな態度とかに文句を言うまい。なぜなら、ただの暑いという事象が、これだけの人を動かせ、これだけの売買を成立させたという圧倒的事実に頭を下げるしかないと思うからだ。
暑ければ冷たいものが食べたくなり、寝苦しい夜はエアコンを強めに調整する。世にマーケティングなる手法があるが、お天道様の前にいかに非力なものか。かの量販店も、さまざまなインストアマーチャンダイジングが施されていた。しかし、リモコンが欲しいとする計画購買者に、無計画購買させるほどのものではなかった。

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