痛快!「プラダを着た悪魔」
いい映画を見た。「プラダを着た悪魔」。女性ファッション誌のすご腕編集長のアシスタントとなった女性の成長を描く、アメリカで大ヒットしたコメディードラマだ。
無理難題ともいえる要求を次々繰り出す編集長を演じるメリル・ストリープの完成された演技に、主演のアン・ハサウェイも決して負けてはいなかった。ただ、筆者にとってこの映画の醍醐味(だいごみ)は秀逸な演技ではなく、華やかなファッション雑誌業界の“内部事情”と、それとは対照的にどこにでも存在する“仕事上の悩み”だった。
多分に誇張されているであろうが、娘のために「未発売のハリーポッターの新作原稿」を、出版業界にいるのだからという理由だけで要求したり、早朝深夜をかまわず電話でアシスタントを呼び出すなどの“暴挙”が次々と飛び出す。
ついに、アシスタントはくじけそうになり、信用する先輩に泣きつく。その先輩は言った。「いやだったら辞めればいい。君はだれもがあこがれる職業についている。辞めても5分で代わりは見つかる」。
だれもが経験する仕事上の悩みや迷いを明るく、ユーモラスに描き出す。それでいて突きつけているものも重い。てん末は…。ここでは書かないが、人を信用することの大切さを、さりげなく表現してくれる、爽快感もたっぷりの名作だった。
映画館を出たあと、敏腕編集長が常軌を逸したとも思える命令を言った後、必ず口にする「That's all(以上よ)」が、頭の中で何度もリフレーンした。そして、反省もした。筆者も会社で無理難題を言っていたことを。アルバイトの学生君に「弁当! オレの好きな弁当、買ってきて。急いで。以上」と、言ったことがないことはない。相手がアルバイト君であることが、また情けない。トホホ。

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