May 25, 2005

横山作品の原点「ルパンの消息」

 「半落ち」「動機」などが代表作である横山秀夫の“新作”「ルパンの消息」(光文社)を読んだ。

 実はこの作品、横山がデビュー前に書いていた「幻の処女作」。「小説の中で唯一未刊行の“隠し玉”」と、改稿後記で著者自身が語っている自信作だ。

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November 18, 2004

実力派の新作「犯人に告ぐ」

hannin.jpg 2段組、367ページの大作だが、読者を飽きさせることはない。雫井脩介著「犯人に告ぐ」(双葉社)は、本の帯で伊坂幸太郎氏が「2章まで読み終えた僕は、最高だねこれは、と興奮し、つづきが気になるあまり、風呂場でも読んだのでした」と書いているが、文句なしの大スペクタクル作品だ。仕事後のお酒をこの上なく愛する私が、この本を読みたいがために、連日、直帰したのだから。

 サスペンスものだが、読者の推理を受け付けない。いや、超越する。あまりの展開に現実感が欠如する部分もあるが、それでも、スケールの大きさにグイグイと引き込まれてしまった。

 連続児童殺人を犯し、「バッドマン」の名で犯行文を送り付ける犯人と対峙する警察。「劇場型犯罪」型の犯人に対して警察はテレビでの公開捜査という前代未聞の「劇場型捜査」を展開する。実は、先に記した現実感の欠如が、ここに出てしまう。しかし、そこはていねいなニュース番組制作現場の描写と、かなり深く取材したであろうメディア各社のスクープ合戦のスケッチで十二分に補われている。

 さて、ラストは…。主人公の警視・巻島が、あまりに格好良すぎるが、それでも涙腺は緩む。

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November 16, 2004

小さくなっちゃった「現代用語~」

gendai.jpg 05年度版「現代用語の基礎知識」(自由国民社)を、ネット通販で買った。しかし、届いた小包を開けてびっくりした。小さいのだ。

 私は97年からimidas イミダス(集英社)、知恵蔵(朝日新聞社)そして、現代用語の基礎知識をローテーションで購入している。実際にひもとくことは、ほとんどない。いわば本棚の飾りとして並べているのだ。よって、その存在価値は、本棚に並ぶ見た目の美しさにある。

 ところが、今年度版から“熱心な読者”の了解も得ず、この本が小さくなっているのだ。いわば、自宅でとっている新聞が、ある日突然、タブロイド版になってしまったようなものである。

 実物を見ることができないネット通販ならではの落とし穴だ。ちなみに、イミダス、知恵蔵の本年度版の大きさは知らないが、この2冊が従来のままの大きさだったならば、迷わず購入しただろう。

 とにかく大ショックなのだ。

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November 10, 2004

手紙を書きたくなる本「代筆屋」

tsuji.jpg うん。手紙はいい。そう思える本に出会った。辻仁成著「代筆屋」(海竜社)。辻さんは、好きな作家ではなかった。美しい女優をゲットし、まだ若いのに説教じみた文章が多い。おまけにパリ在住。つまり、格好良すぎて「食わず嫌い」になっていたのだ。

 芥川賞作家をつかまえて失礼だが、表現がやさしくて豊かだ。代筆屋は10のストーリーで構成されている。登場人物は10代の青年から88歳の老女まで。ずっしりと重いそれぞれの思いを手紙に託す。ラブレターから、離婚の相談までさまざまだが、すべての思いが成就するわけではない。そのプロセスが読者をグイグイと引きつけ、集大成ともいえる手紙が、気持ちを昇華させてくれる。

 手紙もいい。そして、小説もいい。そう思わせてくれる辻ワールドが、そこにあった。

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October 31, 2004

悪くないぞ、ハウツー本

music1.jpg あまりハウツー本は好きでない。いや、そんなお気軽な書籍で、付け焼刃的な知識を持つことは格好よくはあるまい、と思っていた。少なくともこの本を手にするまでは。

「さわりで覚える クラシックの名曲50選」(中経出版)。この本の特長はなんといってもCDが2枚ついていること。誰でも1度は聴いたことがある有名な曲の「さわり」が50曲も入っている。

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October 07, 2004

すでに名作「夜のピクニック」

onda.jpg
 ノスタルジックな小説を一気に読み切った。恩田陸の「夜のピクニック」(新潮社)。ある高校の全校生徒が夜を徹して、マラソンコースの約2倍の距離をただ歩く。生徒たちは、ここで肉体鍛錬だとか、精神修業とかの「教育的目的」を、超越したものを手にする。

 80キロもの鍛錬歩行で疲労困憊(こんぱい)した中、登場人物はそれぞれの思いを赤裸々に、時にはむき出しの言葉でぶつける。しかし、大きな事件もなければ、もちろん暴力シーンなども皆無。が、読ませる。とにかく、人物描写が深く多彩だ。

 これだけ読後感が爽やかな小説を読んだのはいつ以来だろうか。その時代(年齢)でしかできないことがある。この作品では、高校時代が、それに該当するが、それが普遍性を持って読者に力強く訴えかけてくる。

 生きることが楽しくなる。人と接することへの感謝を教えてくれる。そして、ちょっぴり切ない青春小説だ。

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